第5話「心を決める出発前」

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第5話「心を決める出発前」

 出発の三日前となった。  既に、花嫁を迎えるスメラオミの使者が到着している。  この間に、コオリ、ナナハラ両国との間には国境付近で小競り合いがあったようだ。  そんなバッドニュースを聞くにつけても、サリアの気持ちはいよいよ固まった。  スメラオミの王と結婚する。  そうして、スメラオミとシシュハの間にしっかりとしたつながりを作る。   シシュハの役に立つにはサリアにはこれしかないのであって、それこそが王女として生まれた身の為すべきことだと思えば、腹も据わるというものである。 ――……でも、ステキな人だといいな。  ぷつぷつと湧く気持ちを、サリアは振り払うように、首を横に振った。肩を過ぎるふわふわとした金色の髪が、午後の光を受けて軽やかに舞った。 「大丈夫かい、サリア?」  自室である。  近くから聞こえて来た声の主に、サリアは慌てたように、うなずいた。  男性のように背の高い女が近くにいる。  カンナ。  サリアの侍女である。     
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