第1話「青電のプロポーズ」

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 その様子を見ていた王は、我が娘が意外に抜け目ないことに驚いたが、 「后であれば、我が国のお役に立てることもあるでしょう」  そう続けられた言葉に、胸をつかれた。  最高位の妻なら、王にも影響力を及ぼせるかもしれない、と言っているのである。 「ちこう」  父の言葉に応じて、サリアはしずしずと玉座まで歩いた。 「いくつになった?」 「十三です」 「大きくなったな」  サリアは、父の大きな手が自分の頭を撫でるのを感じた。  それは随分と久しぶりな行為で、サリアは、心にくすぐったさを覚えた。 「断ってもよいのだぞ」  王は目つきを柔らかくして言った。  サリアは静かに首を横にした。 「我が身がお役に立つかもしれない機会です。断るなどと」 「もしもそなたを粗末に扱うようなことがあれば、スメラオミの若造をけして許さぬ」  父が険しい声を出すのに対して、サリアは、 「お父様。わたくしの夫になる方の悪口はどうぞお控えください」  言った。 「こやつ」  王の厚い唇がニヤリとする。  サリアは、笑顔を作った。  王が言う。 「詳細は大臣とスメラオミの使者にはかり、これから決める。おって連絡しよう」  サリアは、元の位置まで退くと、両膝をつけて、 「つつしんでお待ちいたします」  と言って、頭を下げた。     
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