第2話「亡国のきわの決断」

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 先の戦争での味方同士が争うことになったのである。  孤立したシシュハの運命は暗い。  そこへ光をともしに来たのが、かつての敵国スメラオミの王女であった。  王女は自ら使者として現れ、 「昔の恨みを忘れて、仲良くしませんか」  と申し出てきた。  同盟を結びたいというのである。  シシュハ内には、呆気に取られる者がほとんどだった。  つい一年前に殺し合っていた相手である。  その手を取るなどと。  しかし、王はそれを了承した。  他に選択肢が無かったのである。 「国内の信頼を失いますぞ」  忠告する臣も多かった。  シシュハの国民は、スメラオミの兵士に大勢殺された。  家族を殺され、スメラオミのことを憎んでも憎み足りぬと思っている民は多い。  そんな中でスメラオミと手を組めば、王に対する失望が広がり、国内が乱れることも十分にあり得る、と臣下たちは言ったのである。  王も、そんなことは百も承知であったが、それでもそうせざるを得なかったのは、やはり国のことを考えてのことであった。  このままではまず確実にシシュハは滅びる。  亡国の民ほどみじめなものはない。  人はよるべがなくては生きていけないのである。     
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