第1話「青電のプロポーズ」

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第1話「青電のプロポーズ」

「スメラオミの王が、お前をきさきに迎えたいと申しておる」  父である王の言葉に、サリアの小さな体が震えを帯びた。  玉座の間である。  父とサリアは、五歩の間であり、サリアからは父の顔がよく見えた。  老年に差しかかろうとする父の顔に、はっきりとした苦しみの色がある。  サリアは、微笑むようにすると、 「わたくしのようなじゃじゃ馬を引き取ってくださるなんて、スメラオミの王は心の広い方ですね」  明るさをふんだんに含んだ声で言った。  午後の光が、玉座の間を満たしている。  二人の他には誰もいない。 「行ってくれるか、サリアよ」  玉座に座る父の言葉に、はい、とサリアはしっかりと答えたあと、 「でも、一つだけ、お聞かせください、お父様」 「む……?」 「きさき、というのは(こう)ですか、それとも()でしょうか?」  后とは正室――最高位の妻――のことであり、妃とは側室――それ以外の妻――のことである。庶民でも妻を複数持つことは珍しくない。まして国王であれば、当然一人より多くの妻を持つ。現に父にもたくさんの妻がいる。 「無論、后として迎えることを条件にするつもりだ」  サリアはホッと息をついた。     
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