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僕は小学2年の頃から犬を飼っていた。
生後2ヶ月のラブラドール・レトリーバーで、黄色い毛並みがとても綺麗だった。
お父さんが、会社の人から貰い受けて来たのだ。
名前はカーマインと名付けた。
絵の具の中で、朱色が好きだったからなのかは覚えてないが、僕が命名した。
カーマインは小さな体で、いつも僕にすり寄って来た。部屋でゴムボールで遊んだり、廊下で追いかけっこをしたり、一人っ子の僕には友達同然だった。
ある朝、カーマインが僕の頬を舐めていた。
薄っすらと目を開けると心配そうに「クゥン」と鳴いて、部屋を出て母さんを呼びに行ってくれた。
その時、僕は39度の熱があったらしい。
僕が林間学校で家を留守にした時、カーマインは一晩中、玄関で僕の帰りを待っていたと母さんに聞かされた。
僕はカーマインの身体を抱きしめて「ごめんね、ごめんね」と、何度も謝った記憶がある。
僕にはカーマインが必要だし、カーマインも僕の事が好きだったんだと、今でも思っている。
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