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「カーマイン!カーマイン!」 僕は三日三晩、カーマインを探した。 「もう諦めな。あの子も保健所に入れられるのが嫌だったんだよ」と叔母さんは言った。 「叔母さんが何処かにやったんじゃないの?」僕はつい、心にもない事を言ってしまった。 「馬鹿を言うんじゃないよ!わがままばかり言うんだったら、家に入れてあげないよ」 叔母さんは、少し涙を浮かべて大声を上げた。 結局、僕は叔母さん家に引き取られる事になった。 兄の子供を孤児院に入れられないと、そう言ってくれたのだ。 今でも感謝の言葉しかない。 僕は荷造りを始めた。 ここは借家だったので、直ぐにでも出て行かねばならなかった。 すると、何処を探してもあれが出てこない。 「あれ?何処に行ったんだろう?」 カーマインが家に来た時、家族と一緒に撮った写真をロケット型ペンダントに入れて、母さんが作ってくれたのだ。 鎖を付けて、首から下げれる様にしてくれた。 男だから恥ずかしいよと、勉強机の横に掛けておいたのだ。 でもあれは、僕の大切な宝物だった。 カーマインにも、よく見せびらかせたものだ。
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