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仕事も決まり、叔母さんが小さなアパートを借りてくれた。 僕の新たな人生のスタートだ。 そんなある日の朝、ゴミを出しに収集場に行くと、近所のおばさん達が立ち話をしていた。 「あの野良犬、何とかならないのかねえ?」 「かなり年寄りみたいよ」 「でも、子供に何かあったら、ねえ?」 と、そんな話が聞こえて来た。 「何かあったんですか?」僕は、それとなく尋ねてみた。 「近所の公園に野良犬が住み着いているのよ。何かあったら怖いわって話してたのよ」と小声で言う。 「あれ、雑種かしら?」 「汚れてるけど、ラブラドールよあれは」 「え?その犬って、ラブラドール・レトリーバー何ですか?」僕はすぐに反応した。 「きっと捨て犬よ」 「保健所は何をしているのかしら」などと言いながら、立ち話は解散となった。 まさか…もう8年にもなるし、ありえないだろう。 などと考えながら、僕は会社に向かった。 しかし仕事中も、その犬の事が気になって仕方がない。 僕は帰りに、その公園に寄ってみる事にした。
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