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公園は大きな木が茂っており、成る程、雨風はしのげそうだ。
すると奥の茂みに、コンクリートの土管が横倒しになっているのが見えた。
その犬は、そこにいた。
顎を前足に乗せて、目を閉じている。
「カーマイン。お前、カーマインなのか?」
僕はそっと近づいた。
すると、犬は急に頭を上げて僕を見て「クゥーッ」と弱々しく鳴いた。そんな掠れた声は、年老いた身体を物語っていた。
そして犬の頭を撫でた時、首に掛かっている細い鎖が目に入った。
これは?まさか!
それはペンダントだった。
錆びついてはいるが、間違いない。
僕はそのロケットの蓋を開けてみた。
そこには、お父さんとお母さん、それに幼い僕とカーマインが写っていたのだ。
あの時、あれだけ探したのに出てこなかったのは、カーマインが持って出て行ったのだ。
僕はカーマインに抱きついていた。
「何でだよ。何で勝手に出て行ったんだよ」
僕はいつの間にか泣いていた。
あの頃の記憶が蘇ってきて、まるで時間が止まったかの様にカーマインを見つめた。
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