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『あの、言いたくなかったら別に…言わないでくれていいんだけど』
私がそう言うと、彼女はキョトンとした顔で首を傾げる。
『どうして…離婚したの?』
DVの話は勝手に耳に入れていたし、本当は詮索などしたくなかった。
離婚理由を聞くなんて、非常識だとわかっている。
でも、つい聞いてしまった。
すると彼女は私を見つめたまま言う。
『別に理由を話すのはいいですけど、どうして知りたいんですか?』
弱々しく俯いたかと思えば笑顔になったり、打って変わってこんな風にキリッと怖いくらいの力強い目をする。
表情がコロコロ変わって動揺してしまう。
『いや、ごめんね。こういうこと聞くの、失礼…』
『好きじゃなかったからです』
『えっ?好きじゃ…なかったから?』
『はい。初めから、好きじゃなかったんです』
淡々と繋がれていく言葉に、思考がついていかない。
初めから好きじゃなかったって、どういうこと?
結婚したのに好きじゃなかった?
好きじゃないのに、結婚した?
訳がわからない。
あくまで私の考えだけど、そういう感情がなければ子供ができるような行為はしないはずだ。
だからリュウ君が生まれたはずで…
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