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『って、こんなの見せられたら気分悪くなりますよね!私の暗い話ばかりじゃつまらないし、次は亜紀さんの話聞かせて下さいよ〜』
甘えたような声でそう言った彼女はコーヒーを飲みながらにっこりと微笑む。
『そんな、私の話もつまらないと思うけど…』
『大くんとは、社内恋愛だったんですよね?』
どうしてそれを?と、私は戸惑いながらも聞き返した。
『あれ?話したことあった?』
『大くんが、話してましたよ。ここに、初めて来た時に』
彼女はそう言うと、周囲を見回すようにぐるりと視線を泳がせながらクスッと笑う。
『ど、どうかした?』
『いえ、本当ステキなおうちだなぁって。家具とかインテリアは亜紀さんの趣味ですか?』
私の趣味かと聞かれたら、そうだと思う。
大地は家を建てる時も、私が生活しやすいように家事の導線などを考えて設計や収納なんかも好きに注文させてくれた。
『亜紀が一番家にいるだろうから』と、家具なども私好みに選ばせてくれた。
『うん、そうだね。わりと家の中のことは私の好きにさせてくれてる感じ。大地がこだわったのは…そうだなぁ、寝室の壁くらいかな』
『寝室の壁?ですか』
『うん、どうしてもヘリンボーン張りにしたいって』
『ヘリン…へぇーっ、そうなんですね』
『今となっては私も気に入ってるんだけど』
そう言ってつい笑ってしまった瞬間。
目の前に座る彼女が全く笑っていないことに気がついた。
『ごめんね、つまらない話しちゃって』
『はい』
無表情でそう返され、シーンとした空気がリビングに流れる。
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