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次々と世間を賑わせている芸能人の不倫ネタ。
また新たなそれが発覚したとかで、出演者たちが面白おかしくトークを繰り広げている。
「ねぇ、また不倫だって、よくもまぁ次々に出てくるよね」
呆れながら笑って見ていた私の言葉に、大地からの返事はない。
えっ?無視?と隣に目を向けた私は、座ったままいつのまにか眠りに落ちていた大地の姿にクスッと笑った。
「もう…歯磨きして寝室いくよ?」
気持ち良さそうに寝息を立てる大地の寝顔を見つめながら、その体を優しく揺らす。
「亜紀……」
「ほら、大地?起きて」
「…亜紀、好き」
「ふふっ、寝ぼけてるの?」
くだらない不倫とか、サレ妻とか。
私には想像も出来ない。
きっとこれから先も、私はそんなものとは無縁に生きていくんだろう。
再び寝息をたてはじめた大地の薬指にそっと触れた私は、不倫するようなそんなくだらない男と結婚しなくてよかった。
大地と出会えて、本当によかった…と改めて思いながら、静かにテレビを消した。
信じていた。
ずっと変わらないと思っていた。
結婚して十年。
この幸せは、この先もずっとずっと続いていくと、信じて疑わなかった。
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