不快な鼓動

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「さすが大ちゃん、やることがカッコイイよね。やっぱ勇太とは違うわー」 「本当その話、うちの慎吾(しんご)にも後でじっくり聞かせてやらなきゃ」 結婚記念日翌日の、土曜の昼下がり。 我が家のリビングにはご近所のママ友二人、景子と玲ちゃんがいた。 「ふふ、とか言って慎ちゃんも勇ちゃんもめちゃくちゃいい旦那さんでしょ。慎ちゃんは家事オールマイティにこなしちゃうカジメンだし、勇ちゃんは超優しいイクメンだし」 昨夜の話をしたものの、少しばかりのろけてしまったかなと、すかさず二人の旦那さんのことをフォローした。 「でも、勇太が十年目にくれたのケーキと花束だけだったなぁ」 「うちは結婚十年まではあと一年あるけど、慎吾には全く期待出来ない。今までも結婚記念日忘れるようなやつだったし」 「大ちゃんみたいな旦那さん、本当理想的だよー」 「本当、うちも見習ってほしい」 やや不満げな表情で話す二人を横目に苦笑いをしつつも、心はどこか浮かれていた。 単純な性格だと思う。 サプライズの余韻が胸いっぱいに残っている今は、大地を褒められることが素直に嬉しかった。 景子と玲ちゃんとは、この家に住み始めた頃からの付き合いで、同じ住宅街の中でも二軒お隣とお向かいという立地、それから私達の年齢も近く子供たちも上の子が皆同じ年齢だったこともあり、知り合ってからすぐにこうやって集まるようになった。
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