不快な鼓動

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「そうなんだ?幼稚園くらいの子なら亜矢たちと同じくらいなのかな?」 そう言って、二人の会話に割って入った。 「多分、同じくらいじゃないかな?玲ちゃん見た?男の子だったよね?」 「うん、男の子だった。ママらしき人しか一緒にいなかったけど」 「私もパパっぽい人は見てないなぁ。ママは私たちよりも若そうに見えた」 「うんうん!若そうだったよね。小柄で髪はフワフワで、なんていうか…男ウケしそうな人って感じだった」 そう言って、あははっと笑い飛ばした玲ちゃんの声が、明るくリビングに響く。 「うん、たしかに。そう言われたら男ウケしそうな感じだったなー。勇太とか、見かけたらヘラヘラしそうだもん」 「慎吾もー!可愛い人がいたら、すぐジーっと見る癖あるし!」 「えっ、そんなに可愛いママだったの?私も見たかったなぁ」 そう言って頬杖をついた私は、まだ見たこともないその人をぼんやりと想像してみた。 小柄で、髪はフワフワか…。 芸能人の話なんかをしてる時は、人気モデルにだってわりと辛口な二人なのに、その二人がこんな反応をしてるってことは、本当に相当可愛い感じなんだろう。 「でもさ、玲ちゃんちの隣のアパートって、確か間取りは1Kじゃなかった?」 景子のその言葉で、私もハッとそのことを思い出した。 玲ちゃんの家の隣にある二階建てのアパートは、一人暮らし向けの物件なはずだ。 部屋は四つしかなかったはずで、間取りは六帖の1Kだと聞いたことがある。 「うん、1Kだったはず。だから一人暮らしの人が多い気がするけど…どうなんだろ?パパらしき人は見た時にいなかったからなぁ」 玲ちゃんが、そんな話をしていた時だった。 玄関のドアがガチャリと開く音がして、リビングのドアに私たちの視線が動いた。
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