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デートコースはお好みで
空を見上げれば青空。天気予報でも今日一日は晴れだと言っていたし、絶好のデート日和だ。
「本当にありがとう、健くん、私のデートのために」
「別に……先輩が俺でいいって言うんだったらそれで……」
「うんうん。私ひとりだったら行くの不安だったもん。友達と一緒に行ったらデートにならないしね」
私は同じ新聞部の健くんと一緒に、開場前の遊園地を眺めていた。
今度、新聞部でコンクールに出す記事を書かないといけない。いつもだったら「学校の規律を重んじた」うんぬんかんぬんで、環境問題とか、町の歴史とか、もっと高尚なものを書かないといけないんだけれど、今回はコンクールのお題が違った。
「絶対に行きたくなる遊園地の広告」
有名遊園地主催のコンクールで、それに応募しようということになったんだ。
私は今までコンクールの賞にかすったこともないみそっかすだけれど、今回は賞品に目がくらみ、絶対優勝を目指すっきゃないと思ったの。
健くんは心底呆れた声を上げる。
「でも先輩、たかが遊園地一年分無料チケットのために、そんな恥ずかしいテーマ選ばなくってもよかったんじゃないっすか?」
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