デートコースはお好みで

1/7
前へ
/7ページ
次へ

デートコースはお好みで

 空を見上げれば青空。天気予報でも今日一日は晴れだと言っていたし、絶好のデート日和だ。 「本当にありがとう、(けん)くん、私のデートのために」 「別に……先輩が俺でいいって言うんだったらそれで……」 「うんうん。私ひとりだったら行くの不安だったもん。友達と一緒に行ったらデートにならないしね」  私は同じ新聞部の健くんと一緒に、開場前の遊園地を眺めていた。  今度、新聞部でコンクールに出す記事を書かないといけない。いつもだったら「学校の規律を重んじた」うんぬんかんぬんで、環境問題とか、町の歴史とか、もっと高尚なものを書かないといけないんだけれど、今回はコンクールのお題が違った。 「絶対に行きたくなる遊園地の広告」  有名遊園地主催のコンクールで、それに応募しようということになったんだ。  私は今までコンクールの賞にかすったこともないみそっかすだけれど、今回は賞品に目がくらみ、絶対優勝を目指すっきゃないと思ったの。  健くんは心底呆れた声を上げる。 「でも先輩、たかが遊園地一年分無料チケットのために、そんな恥ずかしいテーマ選ばなくってもよかったんじゃないっすか?」     
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加