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「俺さ、こうやって笑えてるのその子のおかげって思ってる。あの子の笑顔好きだったからさ、あーなりたいって思ってた。まぁ全然及ばないけどな」
明るく笑う彼の表情はとても眩しくて夕陽に照らされて綺麗だった。
しばらくすると下校を促されるようにチャイムが鳴った。もう遅いし、そろそろ帰るかと本を鞄に詰めて帰り支度をする彼。
「それじゃあまたな」
「うん」
教室を先に出ようとしていた彼の後ろ姿がふいに止まり、振り返った。
「お前の笑顔、気持ち悪くなんてねぇから。笑えよ」
いつも爽やかに笑う彼の顔と声がいつもとは違う異性の印象に見えて頭から離れず、しばらくその場を動けなかった。
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