○○くん

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午後六時半。 私はスマートフォンで、グループチャットの流れを確認した。 行こうと思えば行けたが、何だか気乗りがしなかったので既読だけをつけてスルーした。 チャットはなおも会話が続いていく。  ○○くん登場!!  【画像】  うわ!大人になってる!  当然だべ  マミが○○くんの事覚えてなかったって  言っちゃおうかなぁ?  言ったれ言ったれ!  おいマミいいのか  今参加したら阻止できるぞ 私はチャットを時々チェックしながら、居間でテレビを見ることにした。  おーいマミ  見てるだろ?  シカトすんなよ  ○○くんが会いたいって言ってるよ  楽しいよ  あんたも来なよ  早く  来いよ  マミ  来い  早く早く早く早く早く早く早く早く    おいでよ  怖くないから  早くしないと 「!!」 持っていたスマートフォンが細かく揺れた。 着信だった。 番号は非通知になっている。 私は恐る恐る電話に出た。 「………、………」 電話からは、遠くの方でキュルキュルという音が鳴っている。 「…………ろ………」 ブツン、と音を立てて電話は切れた。 画面を確認するが、真っ黒なまま動かない。 どうやらスマートフォンの電源がいきなり落ちたようだった。 「マミ、テレビ見てないならチャンネル変えていい?」 炬燵でテレビを見ていた母が、リモコンに手を伸ばした。 「…お母さん」 「何よ」 「○○くんってどこに住んでるか知ってる?」 「○○くん?誰よそれ」 「えっ」 チャットのログを確認したが、○○くんに関する会話は全て消えていた。           ○○くんって覚えてる? 尋ねても、案の定誰からも返答がなかった。
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