10人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「…お前、地方大会、優勝できると思ってんのか」
「思うよ?」
「本当か」
「本当。桜介ならできる」
あたしは、知っている。
彼が毎日夜遅くまで練習していたことも。
近くのバッティングセンターで練習していることも。
毎日走り込みをしていることも。
それこそ、土日関係なく、毎日、毎日。
ツバを呑みこみ、喉を鳴らす。
彼は、そんなあたしに「…そうか」というと、手の甲で鼻を軽く啜る。
そして「しゃーないなぁ」と大きく息を吐きながら言った桜介は
「…見せに行くのしんどいから、甲子園に連れてってやるよ」
雲一つない快晴に負けないくらい、輝かしい笑顔を浮かべた。
END
「そーいえば桜介の家の近くにもバッティングセンターあるじゃん? 何でこっちのバッティングセンター来てんの?」「行き帰りの道のりで体力着くだろ」「あ~、なるほど」「(あ、こいつ鈍感な上に単純だわ)」
最初のコメントを投稿しよう!