息子が大型スーパーの遊び場でトラブルを起こしました。

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「あああー!」  絶叫するように泣いている男の子の横に、困惑したようなしょんぼりしたような表情の翔がオロオロとその子の傍をチョロチョロ動いている。泣きわめく男の子の傍には母親がすぐさま駆け寄り「どうしたの? 大丈夫?」と頭を撫でている。男の子はヒックヒックと最初は本気で泣いていたであろうが、母親が来たことによって大げさにしゃくりあげ、涙も鼻水も止めずにボロボロ流したままにしながら指だけはまっすぐ翔を指さして「叩いたー!」と叫んだ。 ――……ああ、面倒くさい  その光景にため息をついたのは、加害者側の親である、凜。  凜は2度目の気だるげなため息をつきながら頭をかく。  ”私は、うそつきは嫌いだ”  平気で嘘をつく子どもは物凄く嫌いだ。子を産んでそれは物凄く感じたこと。だからこそ、目の前の光景には自分の眉間に皺が寄っているだろうことはわかっていてもやめるつもりになれない。 ――かといって、目の前の状況をそのまま放っておくわけにもいかないのもわかってるんよね  一つ、ハァ、と3度目のため息をついたのち、重い腰を重かったと思わせないほどさっとあげて凛は翔の傍に駆け寄りに行った。
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