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「ねぇ、トモキ……私たち別れよっか」 「えっ? なんで? 急にどうしたの?」 素っ頓狂な声を上げるトモキも愛しい。 「ずっと、考えてたの。これからのこと」 「うん」 「トモキはね、これからどんどん有名になって大変だと思う」 「そんなのまだ先の話だろ」 「先かどうかなんて関係ない。いずれ来るんだから。トモキもそうなりたいってずっと言ってたじゃない」 「それはそうだけど。まだどうなるかわからないよ」 「ううん。トモキは必ずそうなるって信じてる。だけどね、私にはその覚悟はないの。夢を叶えたあなたについて行く自信がない」 「なんだよそれ……」 「トモキ、私ね……、夢を追いかけてるトモキが好きだったんだ」 不思議なほど、淀みなく流れ出る嘘を固めて、私はトモキから逃げた。 本当のさよならの理由は彼には言えるはずがないから。 トモキのシミになりたい、なんて……。 「だから…… 」 私を愛してくれている内に、私が薄まる前に。 「……別れましょう」 止めて欲しかった。 追いかけて欲しかった。 だけど、私の夢は叶わない。
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