弐日目 1

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   それから僕たちは自由に資料館を見て回ることになった。  僕は血眼になって資料館中を歩き回ったが、大シャチ様の伝説についてそれ以上の知識は得られそうになかった。それどころか尿意を催してしまい、トイレに向かう。 その時、何やら奇妙な格好の男を見かけて立ち止まった。今時着物に袴姿で、頭には烏帽子を被っている。  平安貴族のコスプレのようにも見えるが、どちらにしろ何故この資料館にいるのかは不明だった。  そっと近づくと、何かブツブツと呟いているようだ。 「もうすぐだ......いよいよ、復讐の時が訪れる......。この島は、終わりだ」  物騒な話だったが、男は僕に気づくと気まずそうに立ち去ってしまった。  仕方なく僕もトイレに入ったが、よくよく考えるとあの男の格好に見覚えがあるような気がして、やがて一つの答えにたどり着く。  すると途端に、嫌な予感がしてくるのだった。   
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