参日目 1

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 不意に、棚の上の普通では気づかないような隅の方に置かれている写真に目が留まる。埃の被ったその写真には、高校の入学式に臨む二人の男性が写っていた。  一人は、今よりも幾分か若く見える村長。 そしてもう一人は、高校生にしてはあどけない表情で笑う青年。かなり雰囲気が変わってはいるが、彼は......。 「......なるほど、そういうことか」  村長は黙っている。目を伏せて、涙を堪えて、それでも黙っている。 「陰陽師はこの島とは関わりのないものだった。ですが......村長、貴方にとっては、忘れられないものだったのですね」  村長の隣で笑う青年。彼は、間違いなく僕らの敵......あの陰陽師だった。
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