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咲良の肩は細かった。
肌はなめらかで、スベスベしている。
「咲良……」
誠は今、男だ。咲良に触れるのに、“好きだ”という理由だけで充分だった。
咲良が力を抜いたのは、“OK”のサインだと思った。
力のない手のひらを握りしめた。
しかし、咲良は手を振り払った。
「やめてっ!!」
そうだ。どうかしてた。
咲良の気持ちを無視して、突っ走りすぎだ。
「……ごめん」
「……じゃない……」
「え?」
「誠じゃないと……」
「 誠 じゃ な い と 」 ?
「それってどういう……」
「私は誠のこと友達だとは思ってなかった」
胸が締め付けられる。
友達とすら思われていなかったのか。
もしかしたら、咲良は誠の気持ちに気づいていたのかもしれなかった。今まで幾度となく如何わしい目で咲良を見ては、罪悪感を抱いたものだった。
そうか。友達ではなかった、か。
「私、誠が好きだった。友情じゃない。恋よ」
「え?」
聞き返した誠は、喜びの表情が滲んでいただろう。しかし、咲良はそうはとらなかった。恥じ入るような顔に、咲良がいかに勇気を振り絞っているかが現れている。
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