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あなたの願い叶えます
「あなたの願いは何?」
道化師の服装にチョビひげ姿の男が言った。
見た目のインパクトに、誠は質問の内容がまったく頭に入ってこなかった。
「いや、えっと……あなた誰です?」
今、誠がいるのは、1DKの自分の部屋だ。
いつもと変わらぬ部屋の真ん中にピエロ(ひげ付き)がいる。非常事態だ。
似非ピエロは、誠の質問の意味がわからないと言うふうに首を傾げて、壊れた機械のようにまったく同じことをもう一度言った。
「あなたの願い……望み?希望?叶えたいことある?」
「いや、言葉の意味がわからないんじゃなくて……」
ふと、誠は手のひらに冷たい感触を覚えた。
手を見ると、金色がくすんだような、水差しのようなものが握られている。
ずっしりとした重みに、徐々に記憶が蘇ってきた。
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