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『とても悲しい事件だったね、まっくろ太』
相棒の黒猫・まっくろ太と並んだ黒猫探偵レイジはパトカーに乗り込む鳩田の後ろ姿を見守っていた。
『人が猫を愛しすぎてしまっただけの、シケた事件だったにゃあ』
人間の言葉を喋るまっくろ太は手厳しく批判しながらもどこか淋しそうに尻尾を上下させている。
『ねぇまっくろ太。いつか人と猫が本当の友だちになれる日がくるのかな』
『よせやい、毛が逆立つじゃにゃいか』
『前にまっくろ太は言ったよね、この世界は猫によって支配されている。人間は知らず知らずのうちに操られているに過ぎない。でも、ぼくはそうは思わない。人間と猫の間にだって愛情や信頼関係が成り立つと思う。ぼくは世界中の猫たちと友だちになりたいんだ。ぼくとまっくろ太のようにさ。ぼくは鳴いている猫と女の子の味方だよ』
尻尾をそよがせていたまっくろ太は呆れたように毛づくろいをはじめた。
『ま、せいぜい立派な探偵になってオレさまを二足歩行させてみろにゃ』
『うん、これからもよろしくね。まっくろ太』
猫型パトライトが点滅する中、レイジとまっくろ太は手のひらと尻尾を触れ合わせて『もふタッチ』し、変わらぬ友情を確認したのである。
――黒猫探偵レイジ、つづく。
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