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澄夜は陽治に縋り付いて名を呼び、泣き、叫んで、陽治の身体が灰となった後は、まるで共に荼毘に付されたように抜け殻状態。
大人になってからは、いつも整えられていた色素の薄い髪は乱れ、長い睫毛に縁取られた目は赤く、美しい顔は憔悴しきっていた。
ジッと視線で殺せそうな眼差しで、影志を見つめていた澄夜は片腕を伸ばしてきた。
殴るというモーションとは違う。
腕に呪詛が込められているとして、それで相手に触れる事で呪いがかけられるとしたら、こんな動きになるだろうという、酷くゆっくりとした動き。
呪いをかけられる方は、動けないってのがセオリーだ。
影志も例外ではなく。
生きているものの体温が感じられない、冷たい手が首に絡みつく。
キツく締められている訳ではないのに、頭の中で煩いくらい鳴る、逃げろという警報音。
それでも、動けない影志。
「…やっぱり、お前は陽治とよく、似ているねぇ…」
そりゃあそうだ。陽治と影志は、一度も間違わず見分けられるのは澄夜だけという程の、瓜二つの双子だったから。
じわじわと呪いが侵食しているみたいに、首から染み渡る冷たさ。
「…双子だからな、顔の作りは一緒なんだよ…。今更どうした?…知ってんだろ?幼馴染みなんだから」
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