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『だって…そうでしょう?スーちゃんの心は僕を通して影志を映しているし、影志はずっとスーちゃんを見ているもの』
陽治が自分の恋人の事なのに、どこか絵本や少女漫画の中の恋物語を語って聞かせる口調で述べて来るのに対し、影志は、
「ばっ…バカ言ってんじゃねぇよ…」
ずっと抱いていた密かな恋心に傷を付けられるのを恐れて、唸るような声で返す。
『そう』
陽治は、無表情になって影志の部屋へと向かい、影志が追いかけようか迷っていると、何か手に持って直ぐに戻ってきた。
『じゃあ、僕のついでにスーちゃんから貰っただけなのに、後生大事に持っているポンちゃんのお人形、今、捨てて見せてよ』
「おっ前なんでそれっ……はあ?ざけんなよ、俺はただ、ポンちゃんが好きだから、それをずっと持っていただけだ」
『だったら、何でこれだけ他のポンちゃんグッズと同じように飾らないで、隠すように仕舞ってあるの?』
「…っんで、隠し場所知ってんだよ…ッ!」
『影志って、子供の頃から大事な物の隠し場所、引き出しの奥って決まってるじゃん』
取り返そうと立ち上がって、歩み寄るが、その分、陽治は後退る。
「返せって…」
『返したら、認める?スーちゃんが好きだって』
「関係ないだろっ」
手を伸ばして取り返そうとし、強く陽治がポンちゃんを持つ手に、影志の手が当たった拍子で、ポンちゃんは吹っ飛び、床に叩きつけられ、ガラスで出来ていた為、粉々になってしまう。
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