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「…な?俺のせいだったろ。俺がお前を好きになっちまって、きっぱり諦められないで、奥底では、ちょっとでも振り向いて欲しいなんて汚い感情もって目で追っちまってた。もっと強く、否定すれば良かったんだ、こんなものっ…」
澄夜に見せていた壊れたソレを、包みごとグッと両手で握り込んで、罪人が首を差し出すように額を押し付ける。
謝罪の言葉を口にするつもりは無い。
許されたくは無いし、許させたくも無い。
「こんなものっ、女々しくいつまでも持っているべきじゃ無かった」
粉々になったものも、陽治を不幸に陥れた恋心も。
澄夜は堪らず、影志の震える身体を抱きしめた。
「もし…もしも…、もう一度、過去に戻れて陽治か影志を選ばなければならないとしたら、俺は、また陽治が犠牲になったとしても、お前を選ぶって、今、わかった。影志の告白を聞いて、俺があげたものを、ずっと、こんなになっても持っていてくれた事に、喜びを感じた。だから、これは全部、俺の罪だ」
全てを自らの罪だという澄夜に、影志は首を左右に振って否定するが、二度と離すものかと抱きしめる力を強くする。
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