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涙を堪えているせいで、夜露の如く艶々と煌めく瞳を覗き込み、
「影志。俺はお前の事が、何よりも…誰よりも愛しいよ。俺の心には…影くんだけ」
酷い男でごめんね。もう澄夜の心の中には陽治など居ないのだと、自分は薄情な男なのだと、そうする事で、全ての罪を被ろうとする。
この優し過ぎて冷酷な振りをする男は、否定を許しはしないだろう。だったら、もう、影志に出来る事はひとつしか無い。
「…俺も…、俺が誰を犠牲にしても欲しいと思う奴は、澄夜だけだ。愛してるんだ」
同じものを背負って愛しい想いを貫くだけだ。
互いの罪と想いを受け入れ合うように、ゆっくりと唇を重ね合わせた。
向き合えたと思えたあの日にされた喰いつくみたいなキスよりも、甘く、溶けてしまいそうだったし、実際、影志は澄夜と今すぐドロドロに溶け合いたかった。
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