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「優子さんはそういうのないですか? 美人って言われすぎるみたいな……」
「私は美人じゃないからね~。そう言ってくれる人もいるけど、社交辞令じゃないかな」
「はぁ!?」
と叫びそうになったけど、ギリギリこらえた。優子さん自分の美しさに気づいてないの? 嘘だろ! 社交辞令!? そんなわけあるか!
「俺は超綺麗だと思いましたけど……」
「え、ほんと? 変わってるね」
変わってるのは優子さんだろー!
「じゃあ今日また会って、がっかりさせちゃったかな? よく見るとそうでもなかったでしょ」
言われて俺はじっと優子さんを見た。
切れ長でぱっちり大きな目と大きな黒目。
筋が通って形のいい鼻。
適度な厚みで色気のある唇。
「……整形とかしてないですよね?」
「してないです」
「じゃあ黒縁のカラコン入れてます?」
「普通のコンタクトは入れてる」
「つけまつげもしてないし、全然顔作ってないですよね?」
「私メイク苦手でね、センスないからあんまり凝らないようにしてるの」
「イヤそのままで超綺麗っすよ」
「あはは、ありがとう」
「お世辞じゃないですから!」
「はいはい」
「いや、マジで!」
「こんな顔でも亮弥くんにはヒットしたって受け止めときます」
「いや、俺だけじゃないですって! 優子さんのファンすごく多いって姉から聞きました」
「ええ~っ、そんなのいないいない」
「だいたい姉がファンですし」
「君達姉弟が特殊なんだって」
そうなのかな……、そう言われると自信なくなってきた。でも本当にそうなら、ライバル少ないってことじゃん。ラッキーじゃん!
「それじゃ、優子さんは? 優子さんは俺の顔、好きですか?」
「かわいいと思います」
「カッコいいじゃなく?」
「う~ん、一回りも年下だからねぇ。いやでも、綺麗だよ。すごく整ってる」
「好き?」
「好き好き。ずっと見てられそう」
めっちゃ軽い。めっちゃ軽いし誘導尋問だけど、嬉しくてにやける。
「ならいいです」
「あはは、いいんだ。でもね」
優子さんは優しく笑って言った。
「顔以外にももっと自信持っていいと思う。私は亮弥くんみたいな子、好きだよ」
胸がドキンと鳴った。
そのまま心臓の音が耳まで響いて、顔が熱くなっていくのを感じた。
どうしよう。すげぇ嬉しい。
そういう意味じゃないってわかってるけど、ドキドキして舞い上がってしまう。
優子さんに好きって言われる破壊力、やばい。
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