第一部 三 突然のデート

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 そう思いながら待っていたら、ふと視線の先にスラッとした美形な男の子が現れた。  薄いグレーのチェスターコートに白のニットセーター、黒のパンツ。スタイリッシュかつ爽やかな服装で歩くその男の子は、携帯片手に美術館を見上げ、そのまま視線を下げた流れで私を見つけると、あっという顔をして急いで駆け寄って来た。  亮弥くんだった。 「すみません、遅くなって、あの……」 「ごめんなさいね、お姉さんから聞きました。他に予定入ってたりしなかった?」 「大丈夫です。でも今朝突然言われてビックリして……」 「そうだよね。ごめんなさい。私は一人で大丈夫だったんだけど」 「いえっ、俺は全然っ! どうせ暇だし、大丈夫です!」 「でも美術展なんて興味ないでしょ?」 「えっと……」 「コレなんだけど」  私は美術館の前の掲示板に貼られたポスターを指差した。亮弥くんはそれを眺めてウーンと考え込み、 「あのでも、優子さん観たいんですよね?」 「そうだけど、私はまた後日でも……」 「それじゃ、観ます!」 「えっ、大丈夫?」 「美術展とか観たことないけど、優子さんが観たいなら、一緒に観ます!」  気を遣わせているかなと少し心配になった。でも、最悪楽しんでもらえなかったとしても、若いんだし経験としてアリだろう。 「それじゃ、おつき合いよろしくお願いします」  そう言って笑うと、亮弥くんも嬉しそうな笑顔を見せた。
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