第2章 アンジェリカ

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第2章 アンジェリカ

灯台の灯が消え、ケイン村の人々はかつてないほど暗く寒い冬を過ごしました。 それでもかならず、雪の下から草の芽が顔を出す季節はやって来ます。 葬儀の時、すでにお腹が大きくなり始めていたマリーは4月に入ってすぐ、女の赤ちゃんを産みました。 大工のマルクは顔中の筋肉を緩ませて、近所の一軒一軒に娘の誕生をしらせます。 玄関先ではペスが、夕暮れが訪れるまで同じ所をくるくると回っておりました。 彼なりの方法で、アンジェリカと名付けられた赤ちゃんの誕生を祝っていたのです。
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