第2章 アンジェリカ

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赤ちゃんがよちよち歩きを始めた頃、村には不思議な話が広まっていました。 嵐の夜、閉鎖されたケイン灯台に明かりが灯るというのです。 子供たちは、うわさ話に夢中になりました。 「灯台守の幽霊が灯りをつけているんだ」 「人魂だよ。パラディじいさんの魂がいるのさ」 そうして、いくつもの怪談ばなしを作り上げました。 大人たちの中には、マルクがしていることと見当をつける者もおりました。 「大工の仕業さね。天国の先生に捧げるキャンドルがわりだろう」 ペスには灯台の閉鎖も、怪談ばなしも関係ありません。 それまでどおり毎日、夕方になると灯台守の助手として仕事場へ通うのでした。
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