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数年前まで陸の灯台は、航空機の安全運航に無くてはならない地上施設でした。
夜は山岳地帯などの危険な地形が背景に溶け込んでしまいます。
月や星のない闇夜に自機の位置を知るため、灯台は大いに役立ちました。
いったい何人のパイロットが、ケイン灯台の放つ橙色の光に助けられたことでしょう。
今日ではAMラジオと同じ中波の電波を使用して、位置を教える電波式航空灯台が国中に設置されています。
電波の来る方角を針で示す自動方向指示器という計器を使えば、雲の中でも闇夜でも、正確に航路を飛ぶことが可能になりました。
航空灯台は用済みとなり、施設の老朽化や人員整理を理由に次々と閉鎖されたのです。
他の灯台が次々と廃止されるなか、パラディ先生は仕事を辞めませんでした。
後任はいません。
彼が仕事を終える日、国内最後の航空灯台の灯は消えるのです。
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