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パラディ先生は壁に刻まれたメッセージを消さずにおきました。
賢いペスは、主人がどれほど気落ちしていても、そこに触れると表情が明るくなることを知っていたのです。
先生とペスは灯台の頂上にある灯籠部にまで登ってきました。
手探りとは思えない、しっかりとした手つきで投光器のレンズを上へずらし、手に持ったランタンの火を移します。
灯台内部が橙色の光で満たされると、ペスは天井を見上げて遠吠えをしました。
「夕食にしよう」
使い古しの皮手袋のような手が頭に置かれると、ペスは先生を壁際の手すりに誘いました。
そこに固定された、折りたたみ式の食卓があるのです。
ランチョンマットよりもひと回り大きい木製のテーブルと、座り心地の良い椅子は、マルクからの贈り物でした。
気立ての良い娘と結婚して自分の家を持った彼は、先生が冷たい石の床にすわって食事をしていると知り、忙しい仕事の合間に大急ぎで取り付けたのです。
先生はランタンを手すりにかけ、椅子に腰かけました。
肩に斜めがけした鞄から弁当の包みを取り出し、テーブルに置きます。
ナプキンを開くと、サンドイッチが姿を現しました。
ペス用の干し肉も添えられています。
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