灯台守の犬

第１章 灯台守《とうだいもり》のパラディ先生

葬儀の後、ペスはマルクの家に引き取られました。

パラディ先生の側を離れないのではないかと心配していた人々は、尻尾を振って大工の妻についていくうしろ姿を見て驚きます。
誰かが、「げんきんな犬だ」とつぶやくと、医者は首をふりました。

「あいつは賢いやつだから、先生は二度と戻って来ないと知っているのだ」

村人たちは、医者の言うとおりだ、とうなずき合いました。
ペスが主人の後を追わなかった事に、誰もがほっと胸をなで下ろしていたのです。

新しい家で、ペスはのんびりと暮らしました。

彼は毎日、夕方になると閉鎖された灯台に行き、足元からてっぺんを見上げます。
先生と一緒に階段を上り、食事をして戻るくらいの時間を過ごして帰ると、マリーは温かいスープを用意して迎えてくれました。