マリア

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 青くんは高校入学して間もないころから周囲の人に、マリアと付き合えばいいのにと言われていたそうだった。その理由が「容姿」だとわかっていた青くんは、そんなからかいを適当にあしらってきていた。同じ学年でもマリアとの接点がまったくなくて内面を知る機会もなかった。マリアは理系で青くんは文系のクラス。卒業まで関わり合いにならないだろうと思っていたという。 「でもさ、昼休みに遊び半分でサッカーしてたら、俺が蹴ったボールが変なほうへ勢いよく飛んでってさ」  校庭で蹴り飛ばしたボールは狙いはずれて、学校の玄関のほうへ飛んでいってしまった。走っておいかけた青くんがたどりついたのは、サッカーボールを抱えたマリアだった。ちょうど昼休み明けに外で体育があり、偶然玄関にいたらしい。  マリアは駆けよってきた青くんを見て彼のものだと気づいた。 「そんで桐澤が『これ蹴ってみていい?』って言うから、サッカー上手いのかと思うじゃん。でも超へたで。振った足がかする感じでボールに当たってホント転がっただけ」  きっとマリアはむくれた顔をしたことだろう。想像して、ちょっと可笑しくなり口元がゆるむ。 「スポーツは好きでも、走るの以外壊滅的だからね」 「それそれ。なんかさ、美人で人気者としか知らなかったから、ちょっと親近感わいちゃったんだよな」     
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