マリア

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「……ヒント、っていうかアドバイスならあるよ」 まるで希望の光をみるような眼差しを向けてきた。まぶしくて顔をそむけた。 「誕生日の前の日にあげると喜ぶよ。当日は絶対ダメ」 青くんの瞳から輝きが失せていった。あまりにかわいそうで、もう一言だけ付け加えた。 「ま、姉さんのそばにあって欲しいと青くんが思うものをあげたら良いんじゃない?」 「わかれば悩まないんだよー」 青くんが頭を抱えて床に転がった。 トオルはなんだと思う?、と聞かれて、聞いちゃダメだろとたしなめた。 マリアの誕生日前日、僕は早く目が覚めてしまい、なんとなく朝食を作った。食パンをトーストしてベーコン付きの目玉焼きをそえただけの簡素なものだが、家族の分も用意した。母親が目を丸くして驚いて、マリアも驚きつつ喜んで褒めてきた。 今日は日曜日。マリアは出かけると昨日から話していた。 「ね、この服でいいかな。トップス地味すぎる?」 朝食後、部屋で宿題をすませているとマリアが顔をだした。どんな服でも着こなせる彼女が、これまで服装に悩むのを見たことがなかった。 めずらしいと思いつつ、青くんのことが頭をよぎる。マリアなりに気にかけているのだろう。 「似合ってるよ。もし悩むなら、青くんの好きな色とか着ていったらどう?」 「んー」 ありがと、と部屋を出て行き、しばらくして玄関が開いた音がした。
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