1

2/6
310人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
 警視庁に配属されて2年目のある日、私は都立高校で遺体が発見された事件を担当することになる。  その日は、同僚の神野が非番だったので、上司の金堂さんと一緒に出動した。  警視庁と言えば、捜査一課をイメージするのが大半だと思うが、私が所属している部署は、私を入れて三人しかいない少数部隊だ。  メンバーは私と同僚の神野と上司の金堂さんである。  一年ほど前に以前父親が所属していた捜査一課を志願したところ、なぜか、新しく出来たばかりのこの部署に異動になった。  その部署というのが、上司の金堂さん率いる未成年者犯罪対策課だ。  何でも優秀な若手を集め、近年増加している未成年者が起こした犯罪を取り扱うために作られたチームらしい。  チームの係長として抜擢された金堂さんも直接年齢を聞いたことはないが、見た目から二十代後半から三十代前半ぐらいだろうと推測できる。  まだ若手なのに、優秀な方だと周囲の噂で聞いた。  未成年者犯罪対策課とは言っても名ばかりで、実態は他の課の人員補充だ。  憧れの捜査一課と一緒になって、殺人事件の捜査をしたりもする。  言い換えれば、ただのヘルプだったりするが、特に不満はない。  強いて言うなら、高校の時から腐れ縁である神野も同じ部署で、二人一組で捜査をさせられると言うことだ。  配属された当初は金堂さんも現場に来たが、最近は、忙しいのか、私と神野だけで、現場に駆り出されるようになっていた。  だが、今日は神野が非番だったので、金堂さんも一緒に現場に行くことになったのだ。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!