第二章 三千の一花、碧空に尽き

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「待って」 思わず引きとめた。何かを言わなければならない気がした。 「やっぱり、その『優曇華の花』を。正体不明でも思い出の花をもう一度見たいって思ってるってことだよね」 祖母の足が止まった。こちらに背を向けたまま口を開いた。 「私はもう待てないから諦めてはいるよ。でも、もし、もう一度見る事が叶うのなら。」 ゆっくりと振り返った祖母の顔を見て、私は思わず息をのんだ。 「見てみたい。それこそ狂おしいくらいに。」 痛ましいほどに焦がれた目をして、彼女はそう言った。
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