日常と混乱の兆し

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 いや、ゲーマーというのは齟齬があるかもしれない。  こいつはゲームと言うより、機械全般が得意(・・)なのだ。  だからゲームは勿論、プログラミングやハッキングも得意で、どこからともなく情報を持ってくる。  この類いは俺もそこそこ出来るのだが、こいつには全く敵わない。  絶対に他人に知られたくないような個人情報も持っていたりするため、敵に回したくない相手No.1だ。  現代社会の情報は最強の武器とは正にこのことだな。  その分味方にいてくれればこれ以上心強いことはない。  色々と情報を誤魔化している俺は、一体何度こいつに助けられたかわからない。  まあ、どれだけ言ったところでゲーマーであることに変わりはないのだが。 「で、なんで毎度毎度人の部屋に勝手に入ってるわけ?」 「お前が来いって言ったんだろ?」 「部屋のキーは渡してなかったろ?」 「生徒会舐めんな。俺のキーはどの部屋にも入れんだよ。」 「それ緊急時以外使っちゃダメなやつだよな?」 「呼んどいていない部屋の主が悪い。」 「せめて連絡しろよ。」 「面倒だった。」  面倒だったって。  葵じゃあるまいしメールくらいくれよ。葵が返信をしてくれるのは10通のうち1通くらいの割合だけどな。  お前は機械大好きだろ。 「あと、お前はまだしも蘭を勝手にいれるな。」 「なんで?」 「部屋を勝手に見られたらどんな妄想に使われるかわかんないだろ。」 「あ、大丈夫!もう全部見終わった。」 「何してくれてんだ。」 「部屋に帰ったら葵×五十鈴で薄い本でも作ろうかな。」 「なんてことしてくれてんだ、侑李」 「人に責任を押し付けんな。」 「どう考えてもお前のせいだろうが。」  蘭の書いた本はとある世界ではかなり人気らしいのだ。その中に自分がいたらと思うと鳥肌がたつ。  蘭は一度当事者になってみればいいと思う。  だが当の蘭はノンケだと言う。  自給自足しろよ。腐男子が。最近腐男子受け流行ってるらしいじゃねぇか。  邪道だって騒いでたけど。  あ、なんか今転校生がマリモ宇宙人であって欲しいと初めて思った。転校生が王道だったら王道大好きなあいつは全面的にそっちに興味が移るだろうから。  本当に転校生ってどんなやつかなぁ。  不安要素は多々あるけど、蘭の興味が引かれる存在であってくれ。
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