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「ここのお化け屋敷はね、迷路も合わさってるから、出るのは大変なんだって。迷うと一時間近くかかる人もいるらしいよ。」
どんだけ広いんだよ。
お化け屋敷はしっかり順路があるべきだと俺は思う。
その時、お化け屋敷を見ていた白亜が、一瞬気遣うように黒亜を見たように見えた。
だが、次の瞬間には元の表情に戻っていたので、気のせいかと思い、忘れることにした。
「じゃあ誰と入るか決めよっか」
「え、なんで?」
全員で入るんじゃないのか?
人数制限がある訳でもあるまいし。
「二人一組で入るに決まってるじゃん。」
お前こそなに言ってんだ。
俺たちは今奇数だからどう頑張っても二人一組にはなれない。絶対に一人余る。
「え~、でも7人だよ?一人余っちゃうじゃん。」
俺の気持ちを代弁してくれたのは会計だ。
そもそも俺たち誰も付き合ってないんだから、わざわざ二人一組にする必要がないと思う。
「そっか。じゃあ誰か一人で入ればいいじゃん。お化け屋敷なんだから二人で入らなきゃ楽しくないよ!」
「じゃあお前が一人で入るか?」
「うっ」
そう。
こいつはお化け屋敷に行きたいとか言っておいて、お化けとかが大の苦手なのだ。
暗い道を歩くのも嫌がる癖にお化け屋敷に行きたいって言うのは間違ってると思う。
だが苦手なお化け屋敷より、腐男子としての執念が勝るから、意地でも行きたいと言うのだ。
どのみち、恐怖で観察することなんて出来なくなる癖に入るのだから、なんのために行くのかわからないが。
「とりあえず、二人一組って言うのはなしだ。全員は流石に多いから、二つに分かれよう。」
蘭は、しぶしぶだが納得したようだ。
一人で入るよりはマシだと思ったのだろう。
「じゃあくじ引きで決めようよ!」
「僕たち用意するよ!」
そう言った双子は、他の人の返事も聞かずにくじを作り出した。
別に反対はないから構わないけど。
他の人も反対ではないみたいだ。
「「できたよ!」」
暫くして、双子から声がかかった。
紙を切って番号を書いたような、簡易なものだったから、それほど時間はかからなかった。
双子は、自分たちで作ったのに自分が一番最初に引いている。
続々と引いて行くが、葵は最後まで手を出さない。
行きたくないのは変わらないのだろう。
仕方ないのでまたも俺が引いてやり、一斉に紙を開いた。
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