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「それで今日呼んだ理由は何だ?」
「あぁ、それは───」
「それはズバリ転校生でしょ!?」
勘がいいにもほどがあんだろ。
俺が送ったメールには飯を食いに来いとしか書いてなかったはずだぞ?
「蘭の言う通り、転校生についてだ。詳しくは飯の時に話す。」
「わかった。」
「本当に転校生が来るなんて!待ちに待った王道だよ!」
「お前しか待ってねぇよ。」
「いやいや、この学園2割は腐男子だからね!?」
「そんなにいたのか。」
「五十鈴は知らなかったのか。」
「なんでお前は知ってんだ。」
さすが情報屋。あの腐男子という人種は無駄に隠れるのが上手いというのに。
というか腐男子がそんなにいたらまともなノーマルは0.5割にも満たないんじゃないか?
やっぱこの学園異常だわ。
「とにかく、まずはビーフシチューを作らないと。皮剥きくらい手伝え。」
「「はーい。」」
蘭も侑李も鍋が爆発するレベルの料理音痴なので、皮剥きくらいしかやらせられない。しかもピーラーで。
これだから家政婦さんに任せて自分で料理をしないお坊ちゃんは。
一度侑李に包丁でじゃがいもを剥かせたら実より皮の方が厚かった。しかもじゃがいもが赤く染まり、指には絆創膏が巻かれていたので危ない上に二度手間になる。
ピーラーで簡単に剥ける人参を蘭に、手で剥ける玉ねぎを侑李に渡し、俺はじゃがいもを包丁で剥く。
野菜を切る段階になったら蘭と侑李は用無し。ほんっと使えねぇ。
蘭は持参したらしい漫画(表紙で男同士が抱き合ってるからあまり見たくない )を読みはじめ、侑李はゲームを再開した。
そして俺はどうせ今も自室で寝ているであろう不良のためにビーフシチューを作る。
本当はコトコト煮た方がいいけど今日はそんなに時間がないので簡単に。
俺が料理を始めたのは小学生の頃だ。俺にも色々事情があり、やむ終えず料理を始めたのだ。
それで今では完全に得意分野になり、蘭や侑李がよくたかりに来る。
特に侑李は一人部屋で、食堂に行くにも目立ってしまうから行きたがらない。
そのため、数日に一回は俺の部屋に来て飯を食い、冷蔵庫の作りおきしておいた料理を勝手に持ち去って行くのだ。
別に構わないのだが、わざわざ隠れながら一般生徒の寮に来るより、自分で料理を覚えればいいのにといつも思う。
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