それをデートとは言わない

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「うあぁー、やっぱり降りたいよぅ」 「もう遅い。終わるまでこの安全バーは上がらないぞ」  もうすぐ始まるといったところで、またぐだぐだ言い始めた。  もう諦めたと思ったのだが。  因みに並び順はペア通りで俺と葵、蘭と侑李、双子、ペアが行方不明の会計は一人で乗る。  蘭と双子が「端っこは嫌だ!真ん中がいい!」と訳のわからないことを言ったのでこうなった。  会計は一人で乗ることを渋っていたが、ペアを置いてきたお前が悪いと言ったら、仕方ないと一人で乗ることに納得したようだった。  今このジェットコースターが空いていて、ここに一般生徒が乗っていないことは、絶叫苦手組にとって好都合なことだ。  醜態を晒さずに済む。  真っ青になって震えている双子と固まっている侑李。  葵と会計はいつも通り。  こいつらに苦手なものってあるのだろうか。  あっても徹底的に隠すタイプだろうな。  そんなことを考えている間に、ジェットコースターが動きだした。  *  結果から言うと、大成功だったと言える。  勿論仕返しが、だ。 「おい、お前ら大丈夫か?」 「だ、大丈夫な訳ないじゃん……」  ダウンしているのは侑李と蘭。  意外なことに、双子は怖いとは言っていたものの、倒れる程気持ち悪くはならなかったらしい。 「ゆうちゃんがジェットコースターが苦手って意外だね」 「「ゆーちゃん苦手なものなんて無さそうなのにね~」」  侑李は、その双子と会計の会話を聞いて、恨みがましくこちらを睨んだ。 「……私にだって、苦手なものくらいあります。」  そう言いながら、吐きそうになってる。  いや~良い気味……げふんげふん 「お前たち、この後どうする?休んでるか?」 「そうですね。まだ動けませんし。」 「僕も。残念だけどここで暫く休んでるよ。」  よしっ、じゃあこの後は当初の予定通り、葵と二人でカフェかどこかで時間を潰そうかな。 「双子ちゃん、ちょっと来て!」  蘭が双子を呼び寄せ、なにやら耳打ちし始めた。  なんだか嫌な予感がする。  蘭から離れるとこちらによって来て、白亜が葵の手を、黒亜が俺の手を握った。
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