夜空の花と林檎飴

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 *  人混みを避けるため俺たちが待ち合わせをしていたのは生徒会専用の寮の近くだ。  生徒会寮は一般生徒は立ち入り禁止のため中には入れないが、相当無謀なバカ意外は近寄らないのでここで待ち合わせにした。  会計や双子と鉢合わせする危険はあるが、こういう祭りの好きそうなあいつらはもう会場に行っているだろう。 「五十鈴!こっちこっち!」  もう蘭は着いていたようで、集合場所から手招きしていた。 「侑李はまだか?」 「まだだけど、すぐ来ると思うよ。侑李に限って遅刻なんてないだろうし」  そんなことを話している間にちょうど集合時間5分前に侑李がやってきた。 「もう来てたのか。珍しく早いじゃないか」 「それ、僕に言ってる?」 「いつも遅刻してくるだろう?」 「いつもじゃないし!」  確かにいつもではないがこうやって集合すると五回に一回は遅刻してくるけどな。  しかもその理由が毎回腐った趣味関連だから侑李がキレるのも当たり前だ。 「もう!今日は10分も前に着いてたんだよ!」 「俺と五十鈴は毎回5分前集合を守ってるだろ?」 「それを言ったら葵だって毎回来ないじゃん!」 「あいつの場合遅刻じゃなくて欠席だ」  侑李と蘭は不毛な言い争いを続ける。  そこで葵を出してはダメだとは俺も思った。 「ほら、喋ってないで行くぞ」 「あ、ちょっと待って。僕五十鈴に浴衣持ってきたよ」  そう言って手にもつ紙袋を俺にみせる。 「五十鈴去年も着てなかったでしょ?だから今年は着てもらおうと思って」 「いらないよ。大体お前の用意した浴衣とか値段が恐ろし過ぎて着て外を歩くなんてことしたくない」 「大丈夫!僕の厚意を無駄にする気?侑李、部屋借りていいよね?」  生徒会寮は基本一般生徒立ち入り禁止だ。  ただ会長や会計なんかが時々連れ込んでいるので、バレなきゃいいみたいな雰囲気があるらしいが。  侑李は蘭を見て小さくため息をつくと、口を開いた。 「……本当はダメなんだけどな。今は生徒会も全員外出しているから大丈夫だろう」 「やった!」  浴衣なんて着たことがない。  お祭の時はもちろん旅行なんかも行ったことがなく、七五三もしていないので、和服を着たことがない。  金銭感覚の違う蘭が用意した服を着るのは不安だが、少し着てみたいと思っていることは、口には出さなかった。
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