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「なんでこの部屋に来たんだ?」
「ゲームしに来たに決まってんだろ。」
「いや、なんでだよ。」
生徒会の仕事があるからゲームをするのがこんな時間になってしまうのも仕方ない。けど自分の部屋でやれよ。
今までだってこんな時間に来る時は最悪連絡くらいはしていたはずだ。
「明日転校生が来るから眠れなくて。」
「嫌過ぎてか。」
「それ以外に何がある。」
だからといって人の部屋に押しかけるのはどうかと思う。
「ゲームなら自分の部屋でやれよ。」
「たまにはここでやろうと思って。」
「迷惑だしたまにじゃないだろ。」
「と、いうことでお茶の準備よろしく。菓子は持って来てる。」
「自分でやれ。それ以前に帰れ。」
「いいのか?お前の好きなブランドのクッキーだぞ。」
「わかった。」
侑李が持って来た袋から出したクッキーを見て気が変わった。あのクッキーは高級ブランドなので俺には手を出せない。
侑李を此処に置いとくくらいで貰えるなら安いものだ。
この欲に負けたことが後で俺を祟るのことになるのだが。
俺は紅茶を入れ、早速クッキーを開ける。
「この時間に紅茶とクッキーか。太るぞ。」
「それくらいじゃ太んないよ。」
「女子に言ったら殺されるぞ。」
「お前だってそれくらいじゃ太んないだろうが。」
俺も侑李も太らない体質なので問題がない。むしろもう少し筋肉をつけたいのだが、何故だか筋肉も脂肪もつかない。
これは侑李との共通の悩みである。
この体型のせいで、ネコ扱いされるのだから。
侑李が言った通り、こんなことを女子に言ったら本気で殺されそうだが、仕方がないと思う。
俺にとっては貞操の危機に直結するのだ。
「部屋貸すから一人でやってろ。俺は寝る。」
クッキーを食べ終えた俺は、早々に部屋を立ち去ろうとする。
もうそろそろ11時になる。侑李と違って徹夜でゲームなどしないので、さっさと寝たい。
1日8時間は睡眠が欲しいのだ。
「ちょっとだけでいいから付き合って。」
「嫌だね。俺は寝るの。」
「クッキー」
「…………。」
それを引き合いに出すのはずるいと思う。高級クッキーだけ食べて退散することに罪悪感が沸いてきてしまったじゃないか。
「ちょっとだけだぞ。」
「やった」
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