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現在の時刻は1時半。
ちょっとだけとか言いつつも、結局二時間半もゲームを続けてしまった。
侑李が強すぎるのだ。一度も勝てなかった。
だけどそろそろ本気で眠い。このまま続けたら寝落ちしてしまいそうだ。
「侑李、そろそろ帰って。眠い。」
「まだ1時半だぞ?」
「お前のまだの基準って一体なんなの?」
「深夜3時までは余裕。」
「早寝早起きは生活の基本だぞ。」
深夜3時とか。でも侑李が生徒会の仕事以外で遅刻してるのとか、授業中寝てるのとか見たことがない。
いつ寝てるんだよ。
俺は11時が限度。高校生にしては早いとか言うなよ。
健康的なのはいいことだろうが。
「わかったよ。じゃあそろそろ帰るわ。」
そう言って侑李は、持参してきたらしいゲームや、ちゃっかり冷蔵庫をあさり料理まで袋に入れ始めた。
「そのクッキーの残りはお前にやる。」
「マジで!?ありがとう!」
それならば、今詰めた料理の中に持ち出し禁止の料理があったことは見逃してやろう。
「じゃあまた明日な」
「明日か。頑張れよー」
「あ、思い出したらここから動きたくなくなってきた。」
「え゛、やっぱ思い出すな。」
「心配するな。ちゃんと帰るから。」
侑李は、リビングから立ち去ろうとし、ドアノブを掴む直前、ふいにこちらを振り返った。
「明日から、気を付けろよ。」
転校生のことか。まあ、なんとなくだけどまだ大丈夫な気がする。
もし、動き出すとしてももう少し後だと思う。
ただの勘でしかないのだけれど。
「大丈夫だよ。俺より自分を心配しろ。」
俺がそう言うと、侑李はクスリと笑う。
「そうだな。おやすみ。」
「あぁ。」
いつも、あんな風に綺麗に笑っていればいいのに。学園で見せるような黒い笑顔じゃなくて。
もともとの顔が嫌味なほど綺麗なのだから。
ああいう顔を見ると、やっぱり人気なだけあるなぁと思う。
それにしても眠い。このまま寝てしまいそうだ。
─────ガチャ
ソファから立てずに睡魔と戦っていると、玄関のドアが開く音がした。
あれ、忘れ物でもしたのかなぁ。
リビングの扉の方を見ていると、今入ってきた男が現れた。
「────葵。」
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