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手当てが終わったところで時計を見ると、時刻は2時を過ぎていた。
侑李のゲームに付き合った結果がこれだ。これからは夜にゲームなんて絶対に付き合わない。
葵だってもうちょっと早く帰ってきて欲しかった。というより洗濯くらい自分でやって欲しかった。
やることが全て終わって、もう寝られることへの安心感からか、意識が朦朧としてきた。
ヤバい。
部屋に戻らなくてはこのまま寝てしまう。
そう思って立とうとした瞬間、俺の意識はそこで途切れた。
ふいに目が覚めた。まだ意識がぼんやりしてる。
だんだん意識が覚醒してきていくつかのことに違和感を覚えた。
俺は今、部屋のベッドで寝ていたのだ。
昨日の夜はソファでそのまま寝落ちしてしまったはず。
葵が運んでくれたのかな。
本当は同室者でも個人部屋には本人の許可なく立ち入りは禁止されてるんだけどな。
そしてもう一つ。
俺はいつもスマホのアラームにより叩き起こされるんだけど、今日は自然と目が覚めた。
昨日の夜、アラームをかけ忘れたのだろう。
しかしそうすると今の時間が気になってくる。
あんなに遅くまで起きてたのだから、早く起きたということはないはずだ。
寝坊したかもしれない。
恐る恐るスマホを確認してみる。
────8:30
やってしまった。完全に遅刻だ。
すぐに飛び起きて葵の部屋に向かう。
「葵!」
ドアを叩きながら呼び掛ける。
しばらくしてその部屋の主が現れた。
「葵、もう8時半だ。遅刻だ。」
「別にいいじゃん遅刻ぐらい。」
「お前は良くても俺はダメなの!」
葵はまだ眠そうに目を擦る。
葵の場合は寝坊なんてしなくても遅刻常習犯なので、今日1日くらい何とも思わないのだろう。
だが俺はダメなのだ。
「今日朝飯無しな!急いで行くから来るなら準備しろ!」
「えー朝飯無しなの?」
「時間無いから。どうしても食べたいんなら冷蔵庫の中に入っているやつ食って来い。俺は先に行ってるから。」
「すずと一緒に行く。」
「じゃあ準備しろ。」
それだけ告げると俺はあわただしく準備をする。
もう遅刻は確定なんだけどね。
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