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いや、なんでだよ!なんでよりによって俺なんだよ!
「俺、忙しいからゴメンネ。」
「ちょっとくらいいいだろ!お前、名前なんて言うんだ?」
俺の話聞いてないのかなー?
あぁ、宇宙人だから日本語通じないのか。
しかし名前か……。確か名前教えたら問答無用で名前呼び+友達宣言だったよな。
嫌だなぁ。
あ、でもこれ苗字だけ教えればいいんじゃね?
幸いにも俺の苗字は(偽名だけど)夏樹。ナツキという名前の人は結構いるはず。
鈴木とか佐藤だと一瞬でバレるだろうけどこれならバレないんじゃないか?
でもいくらなんでも名前だけ名乗る奴って不自然か。
とりあえず試してみるか。
「どうしたんだ?教えろよ!」
「夏樹。」
「そうか!夏樹っていうんだな!夏樹って呼ぶから俺のことも茉央って呼んでいいからな!」
バカでよかった~。
ここまで単純でバカなの初めて見た。いつも周りにいるのが堕天使と裏表腹黒副会長と無表情不良だからか。
よし、名前呼び回避。次はどうやってこの状況を抜け出すか。
「夏樹!案内してくれよ!ここ広すぎるんだよ!」
それについて全面的に同意する。流石に迷うことはないが。
「副会長に案内してもらうんじゃないの?」
「副会長?あぁ、侑李か。理事長室までは案内してくれたんだけど、そのあとどこ行ったかわからないんだよな。」
くっそ侑李め!逃げやがったな!
逃げんなよ。最後まで面倒みろよ。お前が放棄したせいで俺んとこ回ってきたじゃねぇか!
「あー職員室?そこの階段一階まで降りて、右の方に歩いて一個目の角左に曲がった突き当たりにあるよ?じゃあ俺は忙しいからそろそろ行くね。バイバ───」
「そうか!じゃあ一緒に行こう!」
手首をぐっと捕まえられる。意外と力強いな。あー、族の総長やってんだっけ?
それより断ってんのわかんないのかなー?
「いやいや、日比谷クン。俺、忙しいんだよね。一人で行ってくれよ。」
「茉央って呼べよ!俺たち友達だろ!」
「え?今会ったばっかだよね?全然友達じゃないし。」
「何言ってんだ!いいから行くぞ!」
掴まれた手首をグイッと引かれ、階段の方へ歩きだす。
もう訳わからん。宇宙人。
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