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「あぁっクソッ！職員室まで連れてくから手を放せ！」
「本当か！？ありがとな！」
そして物語は章の冒頭に戻る。
あーもう最悪だ。
転校生とは極力関わらないようにしようと思ってたのに、初日早々関わるなんて。
なんか全体的に侑李のせいじゃね？
昨日深夜までゲームに付き合わされたせいで寝坊したし。
理事長室からこいつを放置したせいでこいつ迷ってるし。
しばらくは餓死しない程度に飯を減らそうかな。
そして葵が転校生と遭遇する直前に忘れ物とか言って道を変えた理由。
多分だけれど、こいつに遭遇することに気づいてたんじゃないか？
ほら、野生の勘的な。
普通の人間だったら嘲笑されそうだけど、葵の場合はその可能性が否定できない。
というかほぼ確実にそうだよな。
転校生と遭遇するってはっきりとわかっていなくても、なんとなく嫌な予感がするとかそんな感じで。
そうじゃなければ忘れ物なんて全く気にしないか人の物を勝手に奪うような葵さんだ。
もっと早く気づいて葵について行ってればよかった。葵も嫌な予感がするなら教えて欲しかった。
今更嘆いたところでどうしようもないが、職員室まで行ったら即行教室に向かおう。
転校生は1―Sだったはずだ。あそこの担任はホスト教師。極力接触したくない。
あの教師が出てくる前に必ず職員室から遠ざかろう。
俺がどうやってこの状況を打破するか悶々と考えていた時も、黒マリモはずっと話し掛けてくる。
いい加減鬱陶しい。
俺は思考に没頭しているので生返事しかしていないのだが。
それでも満足しているところから思考能力の低さが伺える。
しかし気になるのは、日比谷だという点だ。
なんというか、普通にバカにしか見えないのだが。
表れたのがバカで安心するべきなのか。
だが演技という可能性も捨てきれない。
それくらいやっていてもおかしくないからだ。
用心しておくに越したことはない。
こいつが本物のバカだろうが、演技していようが、日比谷家という時点で俺の正体は絶対にバレてはいけない。
常に警戒はしておくべきだ。
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