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「ところで、侑李は昼休みどうするの?食堂行くよね?」
「えぇ。何故か生徒会全員で転校生を見に行くことになってしまったんですよ。」
表情には出さないようにしているようだが、心底嫌そうだ。
あの生徒会連中に押されて勝手に決められたのだろう。
「よし!食堂イベントは確実だ!五十鈴も行くよね?」
俺は絶対に行きたくない。生徒会が全員で来て転校生を見るとか。
厄介な匂いしかしない。
ただでさえ生徒会が全員来るだけでも大騒ぎなのに、更にあの宇宙人が関わったら何が起こるかわかったもんじゃない。
「俺は行かないぞ。」
「ですが五十鈴、今日は弁当を持っていないのでは?」
あ……。
朝寝坊して焦ってたから用意して来るの忘れたんだった。
「じゃあ五十鈴も僕と一緒に食堂行こうね。」
「嫌だよ。購買でいいだろ。」
「えー、僕一人で食堂行きたくないよ。」
「じゃあ行かなきゃいいだろ。」
「それは出来ない!今日食堂に行かなかったら腐男子失格だよ!」
「俺はお前が腐男子失格だろうと別にどうでもいいんだよ。」
むしろ失格になってしまえ。
そして俺たちを趣味に巻き込むのはやめろ。
「五十鈴、行ってあげればいいじゃないですか。」
侑李の言葉に蘭が顔を輝かせる。
よくねぇよ。
お前が食堂に行くことから逃れられないからって俺を巻き込むんじゃねぇ。
「侑李もこう言ってるしさ。僕と一緒に食堂行こうよ」
目を潤ませながら上目遣いで聞いてくる。
その様子に周りでは鼻から血を流すヤツが続出。
だが俺は騙されない。
その天使のような姿の中から真っ黒な欲望が駄々漏れだ。
「断固拒否だ。生徒会が全員来るのに食堂なんて行けるか。」
「あぁ、そう言えば今日、特別メニューがメロンパフェでしたよ。」
なん……だと……。
「偶然、北海道からメロンを頂いたそうでして。今日は数量限定で販売するそうですよ。」
それはとても気になる。
もともとここの食堂は、お坊っちゃんに出すだけあってとても美味しい。
そしてスイーツは大好きである。甘いものは正義。
そして侑李はニヤリと唇の端を上げる。
「今日を逃したら次はいつになるのでしょうね。」
「……わかったよ。」
蘭は嬉しそうに跳びはね、侑李は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
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